梅雨のこの時期、やはり気になるのはカビです。
お風呂場のカビ……。厄介ですね。
実は、苔を育てる場合もカビはかなり厄介な存在なのです。
常に高湿度な環境は注意
苔にとってカビは恐ろしい存在です。特にテラリウムの場合は、カビが大量に発生してしまうと「死活問題」。大切に育ててきたテラリウム内の世界が崩壊してしまいます。
ただ、苔はカビに対しての抗菌力を持っています。健康な状態の苔であればカビの発生は抑えらえ、通常はカビに一方的に負けてしまうことはありません。
とはいっても、育てている苔にカビの繁殖を確認した場合、苔自身の力を信じて放置するというのはNGです。
とりわけ密閉容器のテラリウムで苔を育てる場合は、自然界ではあり得ない、常に高湿度の環境を維持しますので、容器の内部がカビの温床となり、あっという間にカビだらけ、という無残な状態になりかねません。
カビを発生させない
発生したカビの対策を考えるより、まず最初に考えるべきなのは、やはりカビを発生させないようにすることです。
カビの予防として大切なのは、カビの発生しやすい条件をできるだけ作らないということです。
まず、テラリウム等に使用する苔について、外から採ってきた苔をそのまま使用するのは良くありません。自然の苔には落葉や木の枝、土などの有機性のものが多く付着しています。これはカビの発生を誘発します。
同様の理由で、苔の土(ソイル)に腐葉土を使うとカビが生えやすくなります。また、畑や花壇の土を流用するのもカビが発生する要因となります。
対策としては、きれいに洗浄された苔を用いること。そしてソイルは購入した赤玉土などをベースとしたものを使用することです。前述の通り、腐葉土は入れないほうが賢明です。特にテラリウムではそうしたほうが無難です。苔は原則として栄養のある土を必要としませんので、栄養のある土によってカビのリスクだけが高まります。
また、密閉容器のテラリウムで育てる場合でも、定期的にある程度の換気をして湿度の調整をした方がカビの発生を抑えられます。水の管理をあまり考えなくてよいのが密閉型テラリウムの利点の一つですが、この程度の手間と注意は意識した方がカビ対策としては良いようです。
そして、茶色くなった苔をそのまま放置しないことも大切です。元気な苔にはカビは発生しにくいのですが、茶色くなった苔には抗菌力が期待できずカビが出やすくなっています。茶色くなった蒴も同様です。見つけたら速やかに除去することをおすすめします。
カビが発生してしまったら
しかし、対策を講じてもやはりカビは発生するものです。なんだかんだ言っても、湿度条件など苔とカビは相性が良いとも言えますからね……。まあ、カビ出てしまったら、しかたない。その都度の対応となります。
早期にカビの発生を知ることができたときは、綿棒等でカビをすべて除去すれば、そのまま放置しても大丈夫な場合が多いようです。カビの付いた部分を苔ごと切り取って除去してしまえば、より効果的です。
発見が遅れ、カビが多く広範囲に発生してしまった場合は、もう少し上級の対策が必要となります。
やはり綿棒等でカビを除去してから、農作物・園芸用の抗菌剤を散布した方がいいでしょう。ベンレートやトップジンといったホームセンター等で手に入る抗菌剤を適正に薄めて散布します。これらの抗菌剤にはカビの予防効果もありますので、カビの発生部分だけでなく、全体に撒く方が良いと思います。適正に薄めていれば苔にダメージはありません。