厄介者と呼ばれます
けっこう厄介者として扱われている苔があります。ゼニゴケです。
この姿。日陰になっている庭の隅で見かけたことがあるのではないでしょうか。写真の中にある丸い穴(無性芽器といいます)が銭のように見えるのゼニゴケという名前になったとか。
ゼニゴケは苔類(たいるい)という仲間に分類される苔です。これまでブログの中で紹介してきた苔とは、同じ苔ではありますが分類が違います。
ゼニゴケは非常に繁殖力の強い苔で、いったん増え始めると一面がゼニゴケだらけになってしまうことも少なくありません。その強さゆえに、ガーデニングの敵とさえ言われることもある苔です。
御覧のとおり、見た目もはっきり言ってよくありません。なんだか出来の悪い海藻みたいです。増殖の速さに加えて、この見た目の悪さも嫌われる原因と言えます。テラリウムで人気のある、ふわふわとしている山苔などとは対極にいるような感じです。
クローン増殖と胞子での増殖
ゼニゴケは2つの方法で増えていきます。
一つは分身です。上の写真に所々ある丸い穴のような部分、無性芽器から自分のミニチュアの分身を出して増殖することができるのです。つまりクローン増殖です。
このクローン増殖がかなり強力なようで、ゼニゴケが駆除が難しいほど増殖するのはこの方法が使えることが大きいといえます。
もう一つの子孫の増やし方は胞子による方法です。ゼニゴケには雄株と雌株があり、それぞれ精子と卵が作られます。精子と卵が出会えば胞子ができ、その胞子が新しい個体へと成長するのです。
ただ、この胞子による増え方はあまり上手くいかないことも多いとか。雄株と雌株が近くに生えていないと胞子ができませんが、自然界では雄株と雌株が近接して生えることが少ないからのようです。
今回、雌株に比べると数の少ないといわれる雄株が大量に出てているものを見つけました。
この丸い傘のようなものが、雄株の雄器床です。ヤシの木のような形をした雌株は探してみましたが見つかりませんでした。調べてみたところ、雌株が出る場合はもう少し後の時期のようです。
嫌われ者の苔ですが、なかなか巧みな仕組みを持っていると感心しました。