苔のカエルの雑記録

~ここは関東のとある限界集落~山間の田舎暮らしをつづっています

鶯の初音と春琴抄

初音

今朝、鶯の鳴き声を聞きました。春、鶯が初めて鳴くのを初音といいますが、今年初めて聞いたので、初音ですね。今春は、ちょっと遅かった気がします。

鶯が「ホーホケキョ」と鳴きはじめるのは暖かい地方では2月からのようですが、関東あたりではおおむね3月くらいからでしょうか。ちなみに、「ホーホケキョ」と鳴くのは求愛と縄張りの主張のためで、繁殖期のオスだけが出す鳴き声です。

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梅に鶯といきたいところですが、写真にはなかなか撮れません。鶯は姿を見るのが非常に難しい鳥なのです。鶯は声に特徴があるのでその存在にはすぐに気づくのですが、声のする方を見ても姿は確認できないことがほとんどです。用心深く藪の中で姿を隠して鳴いているのでしょうね。

鳴くのが下手な鶯

鶯の鳴き声を聞いていると、個体によって鳴き声に上手下手があるのがわかります。なかには、ちょっと笑ってしまうくらい下手なものもいます。

上手く鳴けないのは若鳥のようです。「ホーホケキョ」と鳴くのは前述のとおりオスだけですが、経験の浅いオスは「ホー」と上手く伸ばせず「ホケキョ」や「ケキョ」となってしまうのです。つまりタメがないという感じです。もちろん個体によって才能の有無はあるでしょうが、鶯の世界もやはり練習がものをいうようです。

春琴抄

ところで鶯の声を聴くと、私は、谷崎潤一郎春琴抄という小説をいつも思い出します。目の不自由な三味線の師匠である春琴という女性と、その春琴に仕え寄り添った佐助という男のことを書いた小説です。文庫本で70ページほどのそれほど長くない小説ですが、ちょうど真ん中あたりに、鶯の話が書かれています。

谷渡りと呼ばれる鶯の鳴き方を知ったのは、この本を読んだときでした。鶯の鳴き声の稽古の話も、そこに出てきます。